Q&A          

Q: ユソニアン住宅の考え方は 日本に適していますか。
A:  ライトのユソニアン住宅はアメリカの住宅としては大変小さく、120mくらいのものも数多くありますが、同じ床面積の普通の住宅に比べるとその内部は2倍にも感じられます。内部を大きく感じさせる工夫がたくさんあり、日本の住宅にもとりいれる事のできるアイデアが多く含まれていて、むしろ適していると思います。
 ユソニアン住宅の特徴のひとつである内部と外部のかかわり方は、建物内に庭を取り込み外部に対してオープンです。 それは現在失われつつあるかつての日本の住宅の特徴だったもので、実はライトはそこから学びとったと思います。
Q: バリアフリーは共存できますか?
A:  ライトのユソニアン住宅はバリアフリーの家でした。床に段差はありませんし、温水の床暖房を初めて実用化しています。

 われわれが作っている家でも、玄関の上りがまちは5cmの高さにしかとりませんし、お風呂の洗い場は2階にある場合でも排水溝を工夫して立ち上がりをなくしています。
 ベッドルームとバスルーム以外にはドアがなく各部屋はつながっていて流れるような空間になっています。あらゆる場所に床暖房配管を入れてあり、場所によって温度が違うようなことはありません。
 1階の床はコンクリート土間床に床暖房配管を敷設したもので、床の高さは低くどの部屋も庭に面していて、庭への出入りが直接楽にでき庭との一体感を持った生活を実現しています。
 2,3階建ての場合、われわれの作る階段は踏み面巾28〜33cmに対し蹴上げ16.5cmの上り降りに抵抗を感じない緩やかな階段です。
Q: 価格は?
   予算は壁の仕様や造り付け家具の量等によって変わりますが、ユーソニアンハウスの標準ディテールを用いた家の実績価格は70万〜100万/坪(設備や外構を含む)です。価格にかかわらず、いずれの家もライトのユーソニアン住宅と同じような感じを保つように工夫しています。

 今までに建てた中では、2軒を背中合わせに壁を共有させて建てた内の一方の35坪の住宅の場合で、すべての設備、外構と造園も含みおよそ2600万円の実績があり(三鷹の家 6)、これが今まで建てた物の中では最も低予算でした。 この家はステップフロアの一部RC造の三階建てで、一般には技術的に難しい部類に入ります。
 最近計画した住宅で、I型のシンプルなプランを用い、天井の骨組みを表しにするなどの工夫をしてローコストをねらったものがあります。(床面積約30坪 参考価格2002万、 こちらのページ
(計画案)で紹介しています。) 

 他に有機的建築ではあるが、ライトのユーソニアン住宅の文法とは少し違った思い切ったデザインのもの(木材などLowTechの自然材料をハイテクに使いこなすといったもの)を考えることもあります。こちらのご要望も歓迎します。

Q: 木の内装は手入れに手が掛かりませんか?
A:  最初にワックスか保護油で拭いておくことによりあとはほとんど日常の手入れは必要がありません。木は年月とともに美しさを増していきます。壁紙や塗装のように汚れてきて張り替えたり塗り替えたりする必要もありません。 他のどの種類の壁材に比べても最も手間と費用がかからないと言えます。
Q: 外部の木材のメンテナンスはどうしたらいいですか。
A:  外部に用いてよい樹種は限られています。レッドウッド、レッドシダー、国産材では杉の赤味(芯部)の3種が外部で用いてよい樹種です。戦後すぐに建てられた杉板の下見張りの外壁の家が良い状態で残っているのをよく見ます。最も寿命が長く、50年、100年の長期で考えると現在よく使われている新建材のサイディングにはそのような寿命はありません。 修理が容易なのも有利です。ただし、雨が直に当たる部分はよく考えられた詳細が必要ですし、木製建具は深い軒で保護するのが基本です。(軒は 室内の環境を抜群によくします。現代の建築はなぜ軒をやめてしまったのでしょう)
 無塗装の場合、雨の当たらない部分は濃い茶色に、雨に当たる部分は美しい灰銀色に変化します。この色の変化はしゅう酸などで洗うことにより容易に元の新しい木の色に戻すことができます。色の変化を遅らせたい場合は、顔料の入った塗膜を作らない木材保護剤(
PenofinOlympicStainなど)を用います。3〜5年に一度塗替えればよいでしょう。ご自分でも十分にきれいに塗れます。塗膜を作るような塗装(ニスやウレタンなどのような)は避けるべきです。これらは比較的短い期間で紫外線にやられはがれてきます。

     自然で暖かく、いつまでも新鮮な驚きや発見のある家                      

私達はかなりの時間を住まいの中で過ごすわけですから、そこにいると喜びや安らぎを感じると同時に、刺激を与え人の精神を生き生きとさせるものにしたいと思っています。


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