建築の方法と伊豆の作業所

      

 

建築の方法

 細部の設計を工夫して建築の不必要な複雑さを取りはぶいています。工場での作業をなるべく利用してコストの高い現場の作業を減らしています。 自然材料を多用します。

 現代の住宅の建築は、造作材から造り付け家具まで既製品を組み合わせて作ることしかできなくなってきています。既製品には安価なものもありますが、材質、デザインともによいものは高価であることが多いし、デザインは自由にならず寄せ集めのちくはぐなものにならざるを得ません。
  一方、電動工具や接合方法のめざましい発達により木材加工の能率は手道具の時代の5〜10倍にも達しています。そのような機械加工に適したよい細部の設計を用い、その方法を常用してこれに習熟すれば、材質、デザインともに既製品より優れたものを同じ価格かそれ以下でつくることが可能になっています。  

 このような方法は、小規模で間接経費の負担が小さく、材料を自由に入手して使いこなす技術を持ち、一貫したデザインを材料と加工法に則して作り上げることに習熟したわれわれのような特別な職人の集団が得意とすることで、規模の大きい企業や設計だけを行う設計事務所には真似出来ないことだと思います。

 在来工法の建築も行いますが、2x4工法を用いることが多いです。2x4工法は自由度が高く、ドラマティックなプランニングが可能です。構造計算を行います増改築は慣れていれば在来工法よりも容易と思います。  

伊豆の作業場

 われわれは伊豆市(旧中伊豆町)に作業所を持っています。(修善寺より伊東方向に約20分)そこでは主に次の行程を行っています。

  造り付け家具の製作       主に3/4インチ(19mm)厚のマホガニー合板と真鍮ピアノヒンジを用いる。

  木製サッシの製作        複層ガラスを組み込んだガラス框戸

  窓枠ユニットの加工、組立て   木製の窓枠ユニットは 構造の一部としてフレーミングに組み込まれる

  造作材の製材、断面加工    これらは米松材12〜15cm厚のピーラー(厚板版)から切り出して加工する

  木製サイディングの加工     レッドウッド、レッドシダー、杉赤身材 針葉樹の中ではこの3種が外部に用いてよい樹                     種です。

  構造材の下ごしらえ       米松(ダグラスファー/ラーチ)のツーバイ材および集成材 (われわれはSPF材は腐りやす                    いので主要な構造のフレーミングには用いないようにしています。) 

  杉赤身板の乾燥         桟積みによる自然乾燥

 これらの工程を作業所で行なうことにより、工場で機械ができる作業をできるだけ活用し、コスト高になる現場作業を極力減らして、工期を短くしコストを下げることを可能にしています。

材料の入手先と直接輸入

 国産木材 

  杉赤身材巾広厚板などは一般の材木店では流通していないので、直接木材産地の製材所に挽いてもらいます(伊豆、天竜など)。


 輸入

  国内にはないかあるいは国内では高価なものは、直接またはコンテナ業者を通してコンテナで輸入しています。

主な輸入品。 レッドウッド、メープルフローリング、マホガニー合板などの木材、木材保護塗料(Penofin)、真鍮製金物、ドア金物(Schlage)、窓パッキン材、暖炉の断熱煙突、キッチンのシンクやシャワーブース、浴槽、洗面器や水栓(kohler社)など

           


              乾燥中の杉赤味材厚板 

 

 

伊豆の作業所(1998) Jacobs Houseなどと同じL字プランで、 クリアストーリー(欄間)を持つ2枚屋根の建物です。                   

           

 

  バスルーム家具を製作中の内田さん

 

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