エコヌクールピコ(ヒートポンプによる床暖房)
 
 これまで、床暖房の熱源には富士プラントアルコ社の灯油焚き2管式ボイラー ES-5654を使ってきました。このボイラーは給湯、風呂の追炊き、床暖房の3役に使え、よく断熱されていてボイラーに火がついていないときに放熱器になってしまうことが少なく、自在に必要な低温(50℃程度)の湯が取り出せる使い勝手がよい優れたボイラーですが、灯油以外の熱源への切り替えは以前から模索していました。

三菱電機中津川製作所のエコヌクールを使っています。普通のエアコンと同じR410冷媒を利用したもの。COD=4(入力した電気の4倍の熱が取り出せる)の初めて実用になる製品でした。
 給湯、風呂の追炊きは出来ないので別にガス給湯器などが必要です。冷房も可能ですが冷房には性能と価格の競争がある普通のエアコンを使うほうがよいと思います。

 よく宣伝されているCO2を冷媒に使うエコキュートにも床暖房に使えるようになっている機種がありますが、エコキュートは低い温度の水を一気に90℃程度の高い温度にすることが得意で、給湯器としては優れているが、床暖房の40〜50℃で戻ってくる湯をわずか5℃程度温度を上げて送り出す使い方は不得意。床暖房の能力が大きい機種がない。等の理由があり床暖房に使うのは慎重に考えたほうがよいという情報があります。

 他の熱源としては、深夜電力の料金メニューを利用した、電気温水器(たとえば同じく富士プラントアルコ社のES-6000など)と貯湯槽による方法が有力な候補です。(電力会社の同じ電力量なのに極端に低い夜深電力の料金のしくみにはひずみを感じますが。)

                   

エコヌクールピコ

暖房能力6KW

COD=4(入力した電気の4倍の熱が取り出せる)

東京では85uまで可能.。

これ以上の面積にはエコヌクールレオ(11.5KW)を使う。

上から、

膨張タンク

熱交換ユニット(循環ポンプを内蔵。)

バックアップヒーター2kw

この他に室外ユニット(エアコンの室外機と同じようなもの)が屋外にある。

3F屋上の断熱された小屋に置かれたエコヌクールピコの熱交換ユニット。

灯油焚きボイラーに比べコンパクト。

3Fからメイン配管(各階への配管長を同じにするよう、湯は一度1階に送られてから2,3階に戻る)を通して各階の床配管を循環します。

床配管に到達する以前に熱を失わないよう装置や温水経路を十分に断熱することが重要です。

 2、3階床の床暖房配管にはフローリングの下に落し込みの床を設け、モルタルを打設して蓄熱と熱の伝達をさせています。
1Fのスラブ内配管

 ポリブテンパイプの床暖房配管をコンクリートスラブの床に埋め込みます。
 コンクリート床は蓄熱が大きく最も快適な床暖房が実現します。

 ポリブテンは最も長い寿命が期待できるプラスチック材料です。

階段室の壁に取り付けられた床暖房のコントローラー類

 右上は、エコヌクールピコの熱源機リモコン(タイマーと水温設定用)

 左上は、床温度センサーによるサーモスタット(床温度コントローラ)。床暖房は家の中の代表的な一ケ所の床の温度によりON-OFFされます。

 下は、1階床暖房温水回路のバルブ。各部屋への温水配管は手動で開閉します。

2階各部への床暖房温水配管のバルブ。手動で開閉します。

 あまり自動化せず、直感的で使いやすいようにしています。

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